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2015年4月10日 (金)

普通の家族

先日、浅草育ちの方とお話しする機会があった。

物言いがしゃきしゃきして、地方出身者が勝手に思い描く「浅草っ子」そのものだった。

由緒正しい田舎モノにはグサッと来る言葉も時にある。

その方、離婚したとおっしゃる。

ただし別々に暮らしてはいるが、戸籍上は夫婦のままだと。

ん? とも思ったが部外者が口を挟むことではない。

テンポのよいおしゃべりを聞きながら思った。

浅草育ちの活きの良い女性と、地方・都会を問わず朴訥とか素朴とか実直とかの類の男性とは、当初は異質なものに惹かれあうが、いざ一緒になってみるとかみ合わない部分はあるだろうな・・・

話を聞きながら、いくつか思い起こしていた。

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(咲き残りの桜。4/9 近所の公園で)

その1.

ワタシの知っている離婚夫婦も、奥方が浅草育ちのお嬢様。亭主は「下町」の情緒・義理人情など木端微塵に粉砕するお方。互いに惹かれあって一緒になっただろうに、崩壊するのはあっという間。亭主殿が家を出た。

母と一緒に育つ子供は、いつの間にか、父に対する母の恨みつらみを共有することになる。

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(咲き始めの八重桜。4/10 近所の公園で)

その2。

『ウィーン家族』(角川書店、2009/12)

「闘う哲学者」中島義道氏の小説。

〈自己愛が強く他人を愛せない主人公・康司、彼に依存し支配しようとする妻、そして康司を軽蔑し毛嫌いする14歳の一人息子。康司の研究留学先ウィーンで、この閉ざされた家族関係の行方は・・・。〉

とamazonの紹介ページにある。

こちらは、家族に無関心な父とその父を責め続けることを生きがいとする母という「機能不全な家庭」に育った著者主人公と、東京山の手のお嬢さんである妻との確執。

小説ではあるが、かなり著者本人の実生活に近いと思われる。

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(4/10 近所のお宅で)

その3

同時に、井上ひさし・好子元夫婦のことも思った。

『修羅の棲む家』(西舘好子 はまの出版 1998/10)

当事者の片側から書かれた内容を100パーセント事実と受けとるわけにはいかないが、凄まじいDVの記述だった。その中で、自分のぽんぽんとした言葉が井上ひさし氏を刺激したのだろう、と書いてあったように記憶している。

西舘好子さんは浅草の職人の家に生まれ。かたや井上ひさし氏は山形県生まれ、家庭の事情で苦労を重ねている。

合わなかっただろうな…

と、よそ様のことなのに溜息がでてしまう。

実際、離婚して別の伴侶と結ばれてから、井上ひさし氏は穏やかな家庭人となったようだ。

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(4/10 近所のお宅で)

その4.

萩尾望都さんの『バルバラ異界』 コミック(2003/6 小学館)

こちらは『ウィーン家族』からの連想になる。

物語は西暦2052年が舞台のSF。

〈他人の夢に入り込むことができる“夢先案内人”の渡会時夫は、ある事件から7年間眠り続ける少女・十条青羽の夢をさぐる仕事を引き受けることになった〉 

という話なのだが、記憶を共有する火星生命体、未来戦争、記憶を受け継ぐ心臓タンパクとカニバリズムなど内容は多岐にわたり、家族の在り方、コミュニケーションの不全も重要な要素になっている。

YouTube(小学館公式チャンネル)に内容紹介がある。

萩尾望都『バルバラ異界』作品紹介ムービー
https://youtu.be/9-C8tRFXtKo

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(4/10 近所の公園で)

突然気分を変える妻に振り回される夫。妻は子どもを連れて離婚。成長した子供は父を「憎んでいる」…

このあたりは『ウィーン家族』とそっくりで、いや発行年は『バルバラ異界』が先で、いや『ウィーン家族』の元となる話は前から書かれているよな…

(『ウィーン家族』は離婚には至っていない。)

いろいろ連想しながら、「普通の家族」って貴重なものなんだな、とふと思った。

「普通」ってなんだ、と問い詰められると返事に困る。ワタシは所詮凡庸な人間なのだ。東京は今日も寒い。

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と偉そうに言ってみたかっただけです。ああ、肩凝った。

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コメント

中島義道を引き合いに出すとはなかなか・・・
たしかに普通の人ではありませんね。
私も普通の家庭を営めなかった口なのでよく分かります。望んだことではありませんが、今では独り暮らしが最高です。

投稿: OKCHAN | 2015年4月10日 (金) 15時58分

OKCHANさん こんにちは。
近頃、中島義道氏が至極まっとうに見えてきました。危ないかな・・・(^-^;


自分で言っておきながら「普通の家族」ってなんだろうな、と思います。
どこにでもありそうな、夫婦仲良く子供すくすくという家族は、実は非常に希少な存在かもしれませんね。
ワタシも脱落組です。

投稿: マイマイ | 2015年4月12日 (日) 14時58分

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