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2014年3月 6日 (木)

家の光

昨日は東京地方も大雨、大風でした。夜中にも風が吹きまくり、扉や換気扇カバーが大きな音をたてたり、もがり笛が響き渡ったり・・・で眠れませんでした。眠りの浅い小心者です。

もがりは「虎落」と書くそうです。虎が落ちる時に悲鳴をあげるのかしら・・・? 猫落笛とか獅子落笛とかあるかしらん。

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「もっと光を」はゲーテの臨終の言葉と言われています。

「格子戸を開けてくれ(=暗くて見えないから)」と続くのだとかも。

で「家の光」はランプメーカーの宣伝文句・・・違います。

父母存命の頃、実家に帰ると「家の光」という雑誌がありました。

田舎のことですから、ご近所のお付き合いが何より大事。頼まれては新興宗教や政党の何かを取っていました。読みはしません。いい顔して購読料を払うことが何より大事・・・

そんな中に「家の光」がありました。

長年、どこの宗教団体だろうと思っていました。

このほどようやく理解しました。JA(農協)の雑誌でした。

紛らわしい誌名・・・発行団体がまた紛らわしい家の光協会。教会と書きそうになりましたぞ。

で、それがどうしたかといいますと、先日吉祥寺の古書店の店頭で「家の光」のバックナンバーを見つけ、あまりの古さに感激して買ってしまいました。昭和34年の5月号。

100円コーナーにありましたが、レジへ持っていくと、セールで80円でした。わあ。

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そんなもののどこが面白い? 面白いんですよ、これが。

ある時代のことを知りたかったら、後年作られた/書かれたものより、その当時に作られた/書かれたものにあたるのが一番です。

最近の例で言えば、舞台が昭和30年代の映画「ALWAYS三丁目の夕日」(2005年)はよくできたツクリモノ。当時の雰囲気はむしろ石原裕次郎の映画などに残っています。

この当時の映画や小説は、今の基準なら書き換え必至の差別的表現のオンパレード。

昭和30年代は、ほのぼのとしたいい面だけがあったんぢゃないんです。

で、この「家の光」、ぱらぱら読むと、当時の価値観の今とかけ離れていることに新鮮にびっくり・・・。

例えば、誌上相談室の記事から「残してきた娘に会いたがる妻」。

かいつまんで書くと、再婚同士の夫が相談者。先妻は子ども3人残して亡くなり、迎えた後妻は娘二人を残して離婚した人。二人の間に新たに一子あり。妻の前夫は後妻を迎え、幸福に暮らしている。

問題は、妻の二人の娘が母親に会いたがること。妻は、新しいお母さんとの生活を大事にしなさいと会うのを避けるが、娘たちの熱意に夫は娘たちを家に招く。

これがきっかけで、母と娘たちはその後も会いたがる。これはよくないことではないか・・・

答えは、会っちゃいかんそうです。どうしても会いたいなら年に一度か二度、祭りの日など特別な機会だけにしなさい。

〈奥さんに(中略)社会の常識を知らせ、奥さんの今やっていることが、まちがいであることをわからせてください。〉

今の感覚なら、会うのは権利ですよね・・・

で、上の表紙写真ですが、プロのモデルさんではなく読者モデル「農家の娘さん」です。

募集規定もありまして、

1、農家の娘さんで、未婚であること。

2、健康で顔かたちが美しく、しかも好感がもてること。

3、身長は1メートル54センチ(五尺一寸)以上・・・と続きまして

ばあいによっては戸籍抄本をお送り願うこともあります、と書かれています。

審査員は、画家の岩田専太郎氏(美人画多し)や女優司葉子さんなど。隔世の感あり。

広告も非常に興味深いものがありますので、少々ご紹介。

↓清楚な、薄化粧乳液、とありますが、元の顔が分からないくらいメークしまくってますけど。

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写真修正のなせるワザかな・・・

昔、写真はエアブラシで“綺麗に”修正するのが常識でした。印刷業界の周辺には「エアブラシ屋さん」と呼ばれる方々がいらっしゃいました。商品写真のバックを消したり、無いところを描き足したり・・・PCに取って替わられました。今、画像加工ソフトには「エアブラシ機能」なるものがついています。

ワタシが印刷関連業界にいたとき、職場には「エアブラシ屋」さんがほぼ毎日注文取りに来てました。写真渡して、ここんとこもっとはっきり分かるようにして、とかお願いしてました。下手な人だとねえ・・・落書きみたいになるですよ・・・

↓パナソニックの前身。松下電器産業株式会社。

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クイズ正解の賞品が14型テレビです。もちろん白黒。

「だれでも使える便利なメートル換算器」が第1のサービスになっているのは、尺貫法廃止、メートル法になったのが昭和34年1月だったからです(と思います)。

あれ、5月1日発行で、サービスが4月末日まででいいのかしら。

ま、実際は1月以上早く発行されますけどね。

↓農業関係他の広告ページ。

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町田製薬の「たこの吸出し」健在。

高橋養鶏園「高橋のヒヨコ」は、現 有限会社高橋養鶏のことかしらん。

イタリーポプラ苗の「山都屋」は、現 株式会社山都屋のようです。

トヒエンジンの土肥工業株式会社は現 カーツ株式会社。

ヒヨコ電球の旭光電機工業株式会社は社名そのまま。

長命企業ぞろいですなあ。他の会社も検索すれば現社名が出てくるかも。

(なにヒマなことやってるんでしょうね、ワタシ)

ちなみに、雑誌奥付は

(抜粋)

昭和三十四年五月一日 発行

定価付録共 六十五円(送料三十二円)

印刷所 東京都新宿区加賀町一ノ十二
     大日本印刷株式会社

発行所 東京都新宿区市谷船河原町十一
     家の光協会
     電話(九段)八五六一-五

市内局番九段て、どうやって掛けるんだろ・・・

(こんな昔のこと知りませぬ)

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コメント

「家の光」 懐かしい雑誌ですね。戦後のことしかわかりませんが、農家ではかなり読まれていたと思います(私の実家も農家でしたので読んでました)。今のように情報が乱れ飛ぶような時代ではありませんので、農家は1~2日遅れの新聞(今のように物流も発達してませんから遅れてくるのは当たり前です)か、ラジオか、家の光(ほかに「主婦の友」などもあったと思いますが)のような雑誌ぐらいで情報を得ていたといえると思います。
電話は、自分の居住する電話局経由で「九段電話局」を呼び出してもらい、九段局から該当の番号を呼び出し、相手が出ると「九段出ました」と言って連絡があり、始めて通話できたのです。
スマホ等通信手段(情報も含め)ここ半世紀で大変な変わりようだと思います。ちなみに電話を家庭に引くのも時間とお金がかかりました。
従って、電話の無い家庭も沢山あり、お隣さんご近所さんの取り次ぎも多々ありました。こんなことも地域コミュニティが成されていたのかもしれません。


投稿: 誰そ彼爺 | 2014年3月 6日 (木) 12時00分

こんにちは!
いつも機知に富んだ文章を面白く読ませていただいたています。

で、今回は「家の光」…これまた興味深い雑誌ですね。田舎に行くとホーローで出来た看板があったような?遠い昔の記憶です。

「薄化粧乳液」の件(くだり)…思わず噴き出しました…座布団10枚です…(◎´∀`)ノ

投稿: こうじい | 2014年3月 6日 (木) 14時51分

誰そ彼爺さん こんにちは。
コメントありがとうございます。
ネットで調べると、農家の方には「家の光」は常識だったようですね。
内容は農業関係だけでなく、芸能スポーツ政治文芸・・・と多岐にわたり、まさに「情報源」の感があります。
この号には、浅沼稲次郎氏(当時書記長)の中国訪問や、新婚ほやほやの高倉健・江利チエミ夫妻のグラビア、新設の国民年金の解説、そのほかにも盛りだくさんです。
電話の掛け方の説明、ありがとうございました。
ワタシは黒のダイヤル式電話が初めてです。
それまで近所に呼び出し電話をお願いしていました。
良くも悪くもご近所関係は密でした。

投稿: マイマイ | 2014年3月 6日 (木) 15時45分

こうじいさん こんにちは。
コメントありがとうございます。
薄化粧乳液はワタシも噴き出しました。
これだけ描いたら厚化粧ではないかと。
この雑誌に見る人々の暮らしは、今でも地方のどこかに残っているのかな・・・とか思いました。
不便極まりない生活だけれど、今とは別の楽しみのある日々だったでしょうね。

投稿: マイマイ | 2014年3月 6日 (木) 15時54分

「家の光」は新聞に広告が出てたので、農家向けのそんな雑誌があるんだと眺めてました。

「家の光」とラジオの「ひるのいこい」(前身「農家のいこい」が昭和の輝き。

そうそう日活の青春映画は当時の風俗をよく伝えてます。女性の言葉遣いなんか「・・・のことよ」なんて今とは全く違う。

投稿: 多摩散歩人 | 2014年3月 6日 (木) 21時29分

多摩散歩人さん おはようございます。
「ひるのいこい」は覚えがあります。実にのどかなメロディが流れていました。
と、書いて念のため調べたら、今も放送されているのですね。
あの曲を聴いたら(YouTube)、ラジオ中心だった子ども時代を一気に思い出しました。
昔の映画を見ると、同じ日本人なのに雰囲気が全然違うことに驚かされます。

投稿: マイマイ | 2014年3月 7日 (金) 09時54分

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