« お留守 | トップページ | 油断も隙も »

2014年3月 4日 (火)

三毛猫三匹

オスの三毛猫は希少価値が高いから三匹もいたら一(ひと)財産だ・・・という話ではなくて。

池部良さんの本に出てくる話です。

池部良、と聞いてつるんとした美男を思い浮かべられるのは中高年・・・かな。

戦中戦後の東宝の看板俳優でしたが、そもそもはシナリオライターだったとのことで、文筆でも評価が高く、平成3年には第11回日本文芸大賞を受賞しています。

ワタシはむしろ、作家としての池部良さんに親しみがあります。

軽妙洒脱な名文の書き手です。きちんとまとまるので、安心して読めます。

最近見かける(と思われる)わざと外した(と思われる)斬新な文章がお好きな方には、「古臭い」と思えるかもしれませんが、人生後半になると、やっぱり池部良さんの名調子がいいです。

三毛猫が三匹出てくるのは、日本文芸大賞受賞作の『そよ風 ときには つむじ風』の続篇、『続 そよ風 ときには つむじ風』(池部良 毎日新聞社 1992年11月10日発行)の56頁「秩父・巡礼の御詠歌」。

その前に。

池部良さんの父上は、一世を風靡した画家・池部鈞さん。母上は、岡本一平の妹・篁子さん。岡本一平の奥さんは「かの子」さんで、二人の子どもが岡本太郎さん。芸術は爆発だ、の太郎さんです。つまり、池部良さんと岡本太郎さんはいとこ。

『そよ風 ときには つむじ風』は、池部家の話、特に父・鈞(ひとし)の素っ頓狂ぶりが中心です。まことに面白い親父さんではあります。自分の家族であって欲しくはありませんが。

さて、「秩父・巡礼の御詠歌」です。

鈞さんは妻おこう(篁子)さんの母親が苦手。たまに泊まりにきた母親が喘息持ちで咳き込むのが堪らなく嫌で、「いつ帰るんだ」と、くさすことしきり。

鈞さんの母親が一(ひと)月来て、のべつまくなしおならをしてたのを、おこうさんが我慢してたと言っても意に介しません。

で、話は違うが鈞さん、喉まででかかっている秩父の巡礼の御詠歌の最初の文句が思い出せない。

鈞「出そうで出ないっ、ていやなもんだ」

おこう「だったらお母さんが苦しんでいるのも解ってくださいな」

そこへ母親が「鈞さん、それはね、こうですよ」と歌って教える。

鈞さん、「なーるほど、お母さん十日でも十年でも居てくださいよ」と言いつつ「おこう、お前のおふくろ、変なことは知ってんだな」と言って画室に入って行く。

夫の身勝手と口先にうんざりしたおこうさん、ついにキレ上がる。

〈「あなた、御飯なのに」と大きな声を挙げてから「ばかやろ、どてっ腹に穴開けて三毛猫三匹突っこんでやるぞ」とつぶやいた。

 僕はおふくろが凄い言葉を使ったんで目を見張った。〉(58頁)

おこうさんも只者じゃありません。それにしてもなんで三毛猫、なんで三匹・・・

---------------------------------

猫じゃなくて、久しぶりのお気楽ワンコ。防寒服を着せられていました。

7980_140304wanko

連れのおじいさんが公衆電話で話をしているのを、駐車場で待っていました。

↓1月も寒かったんですけどね。自前の毛皮だけでした。

7576_140123wanko

春はもうすぐだよ~

|

« お留守 | トップページ | 油断も隙も »

動物・わんこ」カテゴリの記事

文系(本とか)」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
池部良さんは、母が恋い焦がれるほど好きな俳優さんです。(母はもう居ませんが)
執筆されていることは知りませんでした。
まさか、岡本太郎さんといとこだなんて、まるで真逆なお人柄とお見受けします。
今度、本を探して読んでみたいです。

投稿: ユキ | 2014年3月 6日 (木) 21時37分

ユキさん おはようございます。
池部良さんは、親の世代のスターでしたね。
残念ながら出演映画はそれほど見ていません。
偶然著作を読んで、文才に驚きましたが、元々が映画監督志望のシナリオライターだったそうです。
読み易い名文ですので、お勧めいたします。

投稿: マイマイ | 2014年3月 7日 (金) 10時01分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/525834/59235954

この記事へのトラックバック一覧です: 三毛猫三匹:

« お留守 | トップページ | 油断も隙も »