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2013年3月 1日 (金)

チャウシェスクの子供たち

2月28日の朝、仕事場へ向かう道の上空で、ばたばたとローターの音がしていた。

どうということのない住宅地だが、東京の西方には米軍横田基地があり、時折米軍機らしいものが低空で爆音を響かせて飛んでいくことがあり、戦争の体験がなくてもイヤーな気分になることがある。

まさかコブラ(米軍攻撃ヘリ)ではあるまいな、と上空をみあげると、ごく普通のヘリコプターがホバリングしていた。

その後、28日の未明に吉祥寺の路上で帰宅途中の若い女性が刺されてなくなったことを知った。

あれは取材ヘリだったのか・・・

現場は決して物騒な地域ではない。よく通る場所だし、飲み会で遅くなった帰りに歩いた道でもある。

その後、17歳の少年が別件逮捕され、犯行を認めるに至った。

その少年がルーマニア国籍だと聞いて、思い浮かべたのが「チャウシェスクの子供たち」だった。

東欧の共産主義国家ルーマニアの独裁者ニコライ・チャウシェスクは1989年、東欧の民主化の動きの中で国防軍の支持も失い、妻エレナと共に12月25日、公開処刑(銃殺)され、その映像は世界中に配信された。気分の悪くなる光景だった。

大統領チャウシェスクは、国力向上(人口増加)のため、避妊及び人工妊娠中絶を禁じた。その結果は、育てきれない子どもが捨てられて劣悪な孤児院に収容され、あるいは路上で暮らすこととなった。栄養不良や病気の子どもに血液注射がされ、エイズ蔓延の原因ともなった・・・

こうした人口政策で発生した孤児を「チャウシェスクの子供たち」といった。

(以上Wikipedia他を参照して要約)

17歳なら、その政策の犠牲者ではない。

だが、悪質な為政者あるいは他の要因にしろ、一度崩壊した社会の傷跡は長く尾を引く。

なんらかの悪い記憶が社会の潜在意識のように残っていたのだろうか。

アメリカ社会はベトナム戦争で病んだ。では戦場となったベトナムは? 国民の多くが犠牲になったカンボジアは? 文化大革命で犠牲者をだした中国は? イラクは?・・・・

考え出すと切りがない。

翻訳者米原万里さんの著書『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』に、チャウシェスク亡き後のルーマニア社会の一端をうかがわせる記述がある。

高級官僚だったアーニャの父は、その後も特権階級であり続けたという。
(本が手元になく記憶によるため不正確)。

亡くなった女性の22歳という若さを思うと胸が痛む。自身に何が起きたかさえ分らなかったかもしれない。

ご冥福を祈ります。

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コメント

御巣鷹山の日航機事故以来、複数のヘリの音を聞くと悪い予感がしますが、あの日も何があったのかといやな予感がしました。この場をお借りして御冥福をお祈りいたします。

投稿: te | 2013年3月 1日 (金) 21時27分

現場となった大正通りは、いつも通る所なので驚きました。夜中に歩いても心配のない場所だったはずでしたが・・・

投稿: マイマイ | 2013年3月 2日 (土) 08時53分

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