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2012年6月 5日 (火)

木村榮『女友だち』

昨年暮れに「あと余命六ヶ月なの」と電話であっけらかんと言われました。

こちらもあっけらかんと「そうなんですか」・・・

人生後半になってくると、生き死にを話題にすることがタブーでなくなってきます。

人間いつかは死ぬ、ということに、こどもの頃に感じた恐怖はなく、それが自然の摂理なのだと受け入れるようになる。年をとるのは悪いことばかりじゃありません。

今最後の本を書いているから、ともお聞きしました。

そうして、4月に届いたのが、この『女友だち』 
有限会社フェミックス 2012年4月5日発行。

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書籍案内はこちら
http://wan.or.jp/group/?cat=11

著者の木村榮さんは、1940年生まれ、62年お茶ノ水女子大卒業後、日本テレビ入社。72年に退職後はフリーライターとして、多くの本を書かれています。

普通に暮らしていたら、経歴でも年齢でも、ワタクシとは全く接点のありそうもない方です。

ある事件がきっかけで、ある事柄がお互いの共通の悩みのタネであることが判明し、以後赤の他人以上しかし遠い親戚でもない、みたいなことになりました。

フェミニズム関連の木村榮さんの著作をご存知の方には、ワタクシみたいに万事「まっいいか」で済ませるいい加減な人間が知り合いであることが不思議でしょうね。

この『女友だち』は、木村榮さんの人生を豊かなものにしてくれた「女友だち」の物語です。

導入部が、さらさらと読める気楽な話でしたので、そういう本かと思っておりましたら、話はすぐに石井桃子『幻の朱い実』を借りた女性論、女性の友情論に。

その後は、見聞きした映画・書籍に著者本人の人生をからめて話が展開します。

仕事・結婚・家庭生活その他、今でもあまりに悩み多き女性たちに、戦後民主教育女性像の第一期生とも言える先達は、こうやって生きてきたと教えてくれる本でもあります。

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ワタクシは著者の人生の起伏をほんの断片ですが知っています。

大学を卒業し、自立した女性として希望を抱いて人生を踏み出したのに、現実にはまだ根深い世間の女性差別体制にことごとく行くてをふさがれる・・・

余りのストレスは心だけでなく体も確実に蝕む・・・

でも、振りかえると、不本意なことも多かったけれど、結構良い人生ではありませんか。

どんな人生だったかを知っていてくれる友だちがいる。

未来へつながる子どもたちがいる。

自分の人生の終り方を準備できる。

「がん」は死ぬには最良の疾患だと、誰だったかしら言っていました。

手紙を書きます、と言っておきながら今日まで出せないでいて申し訳ありません。

余命カウントダウンが始まった方に気の利いたことを言える見識を、ワタクシはやはり持ち合わせておりませんでした。

でも拙い文章でも言わなくては伝わらない。

木村榮さん、「私の友人として」と言葉を添えて本を送ってくださって、ありがとう。奇妙な形でしたが、触れ合えたことに感謝します。

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コメント

本日、木村榮の告別式でした。帰宅しなんとなく本を検索していたら、こちらのページに行き当たりました。向井承子さんが『文字で綴った人生だった』と弔辞を述べて下さいましたが、文字を通じて沢山の友人を持て、幸せだったと思います。ありがとうございました。突然のコメント失礼いたしました。
木村姪

投稿: gabriel-tomato | 2014年5月29日 (木) 15時05分

gabriel-tomatoさん。
コメントを頂きありがとうございます。
葬儀には参列したいと思っておりましたが、事情で行かれませんでした。
お書きのように、友人に恵まれた方だったと、改めて思います。
故人のご冥福を祈ります。

投稿: マイマイ | 2014年5月30日 (金) 12時44分

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