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2010年1月13日 (水)

杖は引きずるもの

ばあ様が川向こうにお引越ししてからそろそろ三ヶ月が経ちます。

ばあ様は花に囲まれて身一つで、あちらにゆきましたなあ。生まれてきた時も身一つですから、余計な荷物は要りません。

そうは分かっているのに、靴やら帽子やら愛用のズボンにシャツなんぞを、またおやつにと好物の餡子玉菓子を一箱とか持たせたがるのは、残された人間の感傷でありませう。

杖は入れませんでした。金属製品がお骨につくといけないから、だそうです。それに、なんでも一緒にあの世に送ってしまわずに思い出の品を残しておいた方がいいとも。

ばあ様の杖は今も実家の玄関の傘たてに傘と一緒に立っています。先日しげしげと眺めたら、底のゴムが斜めに磨り減っていました。

ばあ様は「杖がないと困る」と言っていましたが、実は杖はおまじないのようなものでした。つくのではなく、ずりずりと引きずって歩いていました。持っているだけで安心だったのでしょう。

今思えば、ばあ様は人生そのものが黄昏の闇に覆われ始めていて全てが不安で、すがるものを求めていたのだと分かります。

世の中うまくいかないもので、そうであったかとは終ってしまってから気づきます。これすなわち後悔。

今週末はばあ様の百箇日です。卒哭忌(そっこくき)とも言います。泣き止む日だそうです。

わが一族はとっくに泣き止んでいます。

法事の席はなんだか、馬鹿笑いになりそうな予感がしています。

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